ツンドラモンスーン

 

10月27日、病院の帰りに銀座の資生堂ギャラリーで展示を見て帰ろうと思って立ち寄ったら、
ギャラリーの目前で誰かから電話。
iPhoneがリュックの底に入っており、すぐに出れなくて、
誰だろうな〜と思いつつ、がさごそとまさぐる。
パッと出たら鈴木成一さんだった。
え??と自体が良く飲み込めない。
「森博嗣さんの文庫本の表紙に絵を借りても良いか」と言っているようなので
「はい、喜んで!」と、慌てながらもとにかく言っておいた。
ノートに言われた事をそのまま路上でメモする。
「原画があるなら送って下さい」と言われ、
「家帰って探してみます」と言って、電話を切る。
全ての絵をきちんと整理しているわけではない私は、
さっさと家に帰って絵を探したいのはやまやまだが、
せっかくたどり着いた資生堂ギャラリーの展示も
たしか「五感に訴えるデザイン」だったか、面白そうな分野の展示だったので
「まあまあ落ち着いて、ここは展示もちゃんと見よう」と自分を落ち着ける。
でもまあ落ち着いて展示が見れるわけもなく、
情報が目には入ってくるが、全然心の中はパニックだった。
結局十分かそこらで諦めて帰る事にする。
家に着いて、すごい勢いでその大分前に書いたパンダやクマの絵を探す。
なんとか出て来た。捨ててなくて良かった。
「ありました!」と事務所に電話するが、
「鈴木はもう帰りました」と言われる。
六時半くらいだったが、定時早いんだな…明日朝一で電話しなきゃと焦る。
朝、電話したら本人に電話つないで貰えて、
「家どこ?バイク便出そうか?」と聞かれる。
最寄り駅名を告げると、「うーん結構遠いなあ、じゃ速達で送ってもらえる?」と言われて、
「じゃあ今から事務所に持って行きます」と告げる。
ばばば〜と準備して、代官山に向かう。
とても良い天気。
意外と地図が読める私だが、
迷ってしまい、どうにもこうにもならなそうなので、
諦めて「迷いました」と電話して、正しいルートを教えてもらう。
なんとかたどり着いた。
渡すのはほんの数分で済んだ。
「あ、こんな小さいしバラバラなんだね。
そしてこれは何の生き物なの?」
「なんでしょう…うさぎの鳥でしょうかね?」
質問返し。
まあ、無事渡せて良かった。
そこから12月15日に実際発売されるまで、
私はあんまり本気にしないようにしていた。
実際発売に至らないケースなんて星の数ほどあるんだろうな、
夢を見させてくれただけでありがとうございます…みたいな感謝の気持ちで諦めて過ごす。
途中、11月に事務所から一度電話があった。
「名前の表記は、漢字にしますか?それともローマ字がいいですか?」
「じゃあ漢字でお願いします。」
それでもまあ本気にしない…というか
心はいつも駄目な場合に備えていた。
本当結構ネガティブなんだよねえ。
で、いよいよ講談社の人からメールが来たり、見本が届いたり、
「これは本当にちゃんと発売になるのかもしれんな...」と思っていたら
12月15日に旦那が忘れ物をして品川までその忘れ物を届けに行った時、
帰りに本屋に立ち寄った時に新刊コーナーを見たら現物が!
ツンドラモンスーンが売ってた!
あわわわ…マジか。
という、本気にしない二ヶ月でした。