スマホ、落っこちる

私の人生は、
自分のせいで何か困る事が起きて、
誰かが助けてくれて事無きを得る、
ひたすらその繰り返しだなあと思う。

数日前、電車の中でドア付近に立っていた時、
駅に着いてドアが開いた瞬間に
なんとなくポケットからスマホを取り出したら、
うっかり手が滑って、
いわゆる”電車とホームの隙間”にスマホを落としてしまった。

「へ。嘘!?わー!!!」

と慌ててギャーギャー騒ぎ、
目的地の一駅前だったが、
閉まりかけのドアからホームにぴょんと飛び降りる。

車体の隙間から、線路上にある
私の蛍光ピンクのiPhoneの背中が見える。

タイヤのそば。
電車はまだ出発してないけど、
出た瞬間踏みつぶされそうな、
微妙な位置だ。ハラハラ。

どうなるんだろう、私のスマホ。
一分前に全く予想もしなかったが、
目の前で粉々になるのだろうか?

なんだかそれはそれで見物な気もするが、
(↑この感覚…。)
やっぱり出発は控えて欲しいな...。

どうしたらいいんだろう…
とパニクるだけパニクっていたら、
ホームにいた綺麗なお姉さんが、
至極冷静に近づいて来て、
「駅員さん呼んできます。大丈夫ですよ。」と
素早く駅員がいる改札に向かい、呼んで来てくれた。

すぐに電車は動き出したが、
タイヤスレスレのスマホは、
ギリギリ目の前で粉砕される事はなかった。

お姉さんが戻って来て、
「もうすぐ駅員さん来ます。マジックハンドでつかんで取ってくれますよ。
次の電車は六分後だし、もう大丈夫。」

立て続けの、驚き→不安→一抹の好奇心→安堵で
脳の容量がオーバーして
なんといえばいいか分からないが、
とりあえず彼女に何回か御礼を言う。

マジックハンドを持った駅員が小走りで我々のところに着いた時、
お姉さんは「じゃあ私はこれで」と、拾われる所までは見ないまま、
スマートに去って行った。

いやーあれは惚れますわ。


彼女に比べたら動きがもさもさした駅員が
(拾ってもらっておいてひどい言われようだが)
マジックハンドでなんとか線路のスマホを拾いあげ、
ほぼ無傷の状態でスマホは私の両手の中に戻って来た。

カイロのようにぎゅーっと握りしめる。

彼女がいなかったら、
電車が出た後、多分私の性格上、
あっさり線路にぴょんと飛び降りて
自らの手でスマホを拾っただろうな。
六分以内にホームによじ上ってミッションクリア出来そうだが、
万が一の事を考えると、危ない。

大井町線等々力駅でえんじ色のコートに身を包んだ
綺麗なストレートのロングヘアの美人を見かけることがあったら、
おそらくそれは私と私のスマホの恩人です。
大変感謝しています!!