go betweens 展

六本木ヒルズの森美術館での展示、最近子供特集だな〜と思う。

"こども展"しかり、今展示中の"go betweens展"も。


この展示のテーマは

「海外に移住した移民の親子の子供が、
新しい国の言葉が喋れない親に変わって、

周囲の環境とその間をとりもつ存在"=between"としてのーこども。」


というわけで、海外のみだけでなく、精神世界、夢とか地獄とか
現実世界でない場所まで含めて、その間をとりもつ存在として
子供の世界に焦点をあてています。

まあ、実は奈良美智の作品が三枚あるんですよ。

(うち一枚は本邦初公開。)

それを見れただけでファンとしては満足です。

奈良さんも「子供」っていうモチーフでいろいろ表現してますが、
他のアーティストの方々も「子供の、簡単じゃない深い世界」を見せてくれて、
なかなかに興味深い展示だった。



私がいいと思った物は
サンテリ・トゥオリの"赤いTシャツ"という映像作品。
単純に綺麗。

子供が赤いTシャツを脱ぎ着するのをスローモーションで見るだけ。

一切の無駄がないなあと。とても輝かしい一瞬。


爆笑の作品は山本高之さんの"どんな地獄へ行くのかな"。
実はこれをラジオで聞いて実際の作品を見たかったのだ。

子供達が頭の中で描いた地獄を実際に工作で作り上げてプレゼンする。
実に様々な怖くて面白い地獄があります。
そして、それらは恐ろしいのにとっても可愛くもあるのです。

ラブリーな地獄が15個くらいあったかな。

イメージで多かったのは”血”、”目玉”、”凶器”、”鬼”。

みんなそういうのが怖いのね。

廊下を走ると落ちる”曲がり角地獄”

ゲームをしすぎると落ちる"ゲーム地獄"

 



テリーサ・ハーバードとアレクサンダー・ビルヒラーの共作、

"エイト"という映像作品もなんだか心に残った。

八歳の女の子が一人、自分の誕生日パーティーのケーキを
庭で雨に打たれながら、ケーキを切るだけ。

彼女はあの映像の中で一切笑って無かったな。

誕生日なのに、ずっと悲しそう。

なんだかじーっと見てしまった。

タイトル”エイト(8)”は、"無限大(∞)"を横にしたものでもあるという。



リネカ・ダイレクトラの"女の人が泣いてます"も良かった。
ピカソの泣く女を見せて、子供達に何で泣いてるのかを
想像させるという映像。

真剣にいろんな理由を考えてて、
本気なので面白い。最後のコーナーは絵本がめちゃくちゃあるのだが、

ありすぎて一冊もみれなかった。

 

この展示はこどもに焦点あててるけど、

”かわいくて笑ってる無邪気なこども”のような

一般的なこどものイメージはなかったな。

 

世界に適応するのになんとか必死で生きてる、

弱くて強いこども、って感じの展示だった。