地震の日

丸3年が経ちました。
今日はとてもいい天気。
雲ひとつ無い快晴。

朝は寒かったけど、
お昼頃は結構暖かくて、
3年前の今日と同じようだ

ラジオでも、ネットでも震災特集。

もうすぐ、その時間。




3年前のその瞬間、私は何をしていたかと言うと、
一人家の居間でパジャマ着てごろごろしていた。

あの地震はドーンと来たわけじゃなくて、
じわ〜と来て、長く長く揺れた。

テーブルの上に置いてたグラスの水の表面が、
ゆらゆらとゆっくり揺れ出して、
それをじっと見てたら、
キッチンに吊るしてあるお玉やフライ返しも揃って
斜めに揺れ出した。

そういう日用品が、
がちゃがちゃ暴れ出す感じじゃなくて、
ゆっくり、揃って踊ってるみたいな感じ。

表現が一番近いのは、船の上だと思う。

大きな船が旋回したり、波が来たり、
ちょっと斜めになる時に、
船上レストランの厨房のキッチンツールと、
テーブルの上のグラスの中の水は、
ああいう動きだと思う。

いつも地震が来ると、
私は慌てて家を飛び出しちゃうんだけど、
(今までに福岡で2回は飛び出した記憶がある)
この地震は、そういう出だしだったから、
すぐに収まるかな、と
しばらく割と冷静にその水と揺れるおたまを見ていた。

 


とてもとても長く感じた

全然収まらず、だんだん異常事態だと感じはじめる。

その場にあった、ケープを掴んで羽織って、
玄関にあったスニーカーをつっかけて
階段を降りてだだーっと表に飛び出した。

通りには他にも近所に住む
おばあちゃんと孫であろう男の子、
30代の女性も出て来ていて、
なんとなくひと固まりになった。
黒いコートの女性も後から加わった。

 

当然全員面識はなかった。



私は足が震えていて、
何にも喋れなかった。
内部は結構混乱していたのだと思う。


一番気丈だったのは30代の女性で、
目の前のアパートに住んでいるらしいのだが、
「カーテンレールの上に並べてた缶ケースが全部バラバラ落ちてきたよ」
「午前中から、何か変な感じがしたから、仕事休んで正解だった」
とか、ずっと話してくれていて、
占い師の友達に似ていたからちょっと安心した。
(↑言ってる事もやっぱり占い師っぽいしなあ。)

どれぐらいそのコミュニティで固まってたかわからないけど、
だんだん揺れもおさまったから、
各自家に帰る事になった。

でも気付いたら、オートロックのマンションだったのに、
私は鍵も持たずに飛び出していたのだった。

どうやって戻ろうかと思ったら、
黒いコートの女性は同じマンションの四階に住んでいる人だったので、
なんとかはいることが出来た。

彼女はちゃんとコートを着ていて、
鞄も携帯も持って来ていた。
よ、余裕があるなあ...

(というかもうちょい落ち着けよ自分...なんだこの格好。
もこもこしましまパステルカラーの猫耳パーカー。)


彼女は携帯で姉と連絡が取れないことを心配していて、
「でもワンセグでテレビは見れますね。
何、これ...こんな事になってるらしいです」と見せてくれた。

何も持ってない私は、
震源地も、どこで何が起こっているかも全く分からず、
揺れが収まった事でちょっと安心しだしたところだった。

駐車場の車や荷物が波に押し流されている映像を最初に見た。

 

 

 


私は、今日夕方までにやらないといけない事を思い出した。

一週間後に姉と母とスペイン旅行に行く予定で、
その日、約百万円を払わないといけないのだった。

数年間、姉と一緒にこつこつと貯めたお金だった。


電車は動いてないみたいだったので、
チャリンコで五反田に向かう。

途中、ビルの窓が落ちて来ていた。
なんとかたどり着いた旅行会社も、

自動ドアが開かなくなったと言っていた。

銀行は、降ろせる金額の上限が40万とかで、
おいおい百万出すのってどうすんだよとちょっとパニックになった。
(小分けで出した。)


街は若干おかしな雰囲気だったが、
なんとか用事も済んで、
私はミスドに入った。


高校生達が、ワンセグのニュース映像を見て騒いでる。

だんだんと、友達とも連絡が取れ出した。
友達に「地震すごかったけど、おさまって皆無事で良かったね」と言った事を、
全然大丈夫じゃなさそうな東北の映像を見て、
軽はずみな事を言ってしまったと後悔した。






それが、地震発生直後から数時間後の様子で、
覚えている事。


この後数日間、
スーパーやーコンビニの食料品は消えるし、
毎日原発の恐ろしい映像はやってるし、
街は節電で薄暗いし、
どうなるんだよ本当...と思った。

一週間後に姉と母とヨーロッパに行くため

成田で前泊した日も、何度も揺れたと思って目が覚めた。

ろくに寝れてないせいか、

観光地で何度も吐く。

 

サグラダファミリアのお土産売り場で

外人のおじいちゃんが、話かけて来て、

「あんた日本人か、地震大変だったね」

みたいな事を言われたが、(表情、ジェスチャーから推測)

スペイン語は、良くわからなかった...。