色彩を持たない多崎つくる...

なんとか手に入れたので、読み終わりました。

(刷数が異常!4月15日に第1刷、4月26日に既に第6刷ってどーゆーこと??^^;)

 

感想。

 

うーん、春樹節炸裂。

「あるいは」なんて会話で使う奴らいねーよ!

と思いながら、春樹の本読んだ後、私も思考で「あるいは」使ってる気がする...。

 

ただいつになくカラフル、というか色がテーマの話だったので、

(主人公、多崎つくる以外のほとんどの登場人物の名前に色がついている)

個人的に興味深く読ませてもらいました。

(ももクロといい、色分け流行ってる??)

 

ちょっとだけ推理っぽい、事件的な要素があったので

先が読みたくて、順番通りでなくバラバラに、後ろの方から読んでしまうせっかちな私...

順番通り読まなくてごめん、春樹!!と思いながら...。

 

内容に関してはあまり触れませんが、

今回、何故自分は村上春樹の本読んでるのかなーと途中から考えて読んでいた。

 

あまりに本が売れてるから、顰蹙を買って(?)意外と嫌う人も多いよね。

うちの父などは、大抵のオールジャンルの本を読むが、村上春樹に対しては、批判的。

まあ、小説は文体などに好みがありますから仕方のないことですが。

 

あともう一方で大人気の東野圭吾ファンなどからしたら、

「全ての謎が解けるわけではない」ことに苛立ちを覚える人もいるだろう。

 

これって、結構大きい、というか

人間って二種類の人に分かれる気がする。

「全部の謎が解けてすっきりしたい人」と

「解けないからこそリアリティがある」と思う人と。

 

私は後者なのですね。なので春樹読みます。

謎は、いろいろ残ってる方が好きかも。

未解決の部分が分かっていくの嫌いじゃないけど、

(だって今回もめちゃめちゃ先気になってますから)

解けない部分があっても、

「あえて、そういう部分を残したのだなあ。では、何のために?」と

考える余地があるからかなー。

(予想通りの展開よりは、謎が残ってる方がまだましだ)

 

まあ今回、結構でかい謎の部分は残されてるんだけど...

(あともう30ページ描いてれば、ぶーぶー文句言われないんじゃないかな、と思った。

誰の感想も読んでないけれども。でも描いたけど削ったりしたのかもしれん、とも思う。)

 

この人の小説の、どんな部分が好きかというと、

「事実に即した不思議なエピソード」が好き、というか興味を覚えているのだなあ、と思った。綿密にいろいろ調べていて、私が知りもしないような「現実」があるから面白い。

 

例えば今回の小説では「六本指」の人間についてのエピソードがある。

六本指は、優勢遺伝らしい。

本来なら10%くらいいるはずなんだそうだ。

しかし、世の中の大抵の人は10本指で、12本指がある人には

お目にかかったことがない。(大抵、産まれた時に親が切り落としてしまう事が多いから。)

 

このこと(これが事実かどうかは、本当に深い興味を持ったら、私はぐいぐいと調べる。

でも事実であるかどうか、またはフィクションでもいいじゃないかという事もたくさんあるし

今回は調べないことにする。だって、それでいいから。)についての考察を、

この本の中で一度しか出て来ない、超無口な主人公の部下が、話すシーン。

その部分が妙に印象に残った。

 

この本の中の誰か一人だけと話せるなら、私はこの人を選ぶなあ。

端役も端役なんだけど。

 

また、主人公は鉄道の駅を作るエンジニアで、駅を観察する部分も

まあ割と興味深かった。(割と...って駅は大抵の人が使ったことがある、

身近なモチーフだけど、私は鉄道マニアじゃないから、完全なる理解は出来かねるんだよなあ...残念)

 

 

というわけで、以上村上春樹三年ぶりの新作「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」

の半端な感想でした。

 

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ちなみに、「多分一生読まないと思うわー」という方の為にざっくりあらすじ説明しておくと、、、

 

主人公は鉄道会社で設計の仕事をしている多崎つくる(36)。

何故「色彩を持たない」かというと、それは高校時代の仲良し五人組の中で、

自分だけが名前に色が含まれなかったから。(皆名字に赤、青、黒、白の漢字が含まれている)

男3人、女2人の奇数だし個性もバラバラだけど、不思議に五人はとても仲が良かった。

 

しかし、主人公だけが東京の大学に行く為に上京すると、

ある日突然、名古屋に残ったその四人から理由も告げられずに「お前とはもう会わない」と

言われてしまう。あまりに仲が良かった為、またその理由が全く分からず反論も出来ない為、

深く傷つき、二十歳の半年くらいの間主人公は自殺ばかり考える。

 

話はそこからスタートする。

 

結局、死なずに現在の36まで生きて、二歳年上の女性に自分の過去の話をしていたら、

「その出来事は解決させた方が良いのではないか」と言われ、それもそうかも、と思った多崎つくるは一人ずつ、その昔の友達をアポ無しで訪ねるのだった。

 

しかし、その中のメンバーは一人、既にこの世にいなかった...。

 

という話です。