神様

緑茶を淹れていたら、熱湯が左手にかかった。
結構な量が、勢い良く。

あまりの熱さに声も出ず、
顔が苦悶に歪む。
というか、すんごい変な顔をしたと思う。
そこに鏡がなかったから分からないけど、
多分今までにした事ないような
新しい表情がそこに生まれていたと思う。

その変な顔した瞬間に、
「今の表情は、神様見てたら笑っただろうな」
と普通に思ったので、
「ふーん、私ってこういう時とっさに神様が見てるって思うんだ」
としみじみ思った。
「誰か見てたら笑っただろうな」じゃないんだ。


まあ誰か見てるとしたら、
神様ぐらいしか見てないようなささいな瞬間だったので
そう思ったのだろう。


でも、神様感じるんだったら、
今日そもそもかなり一日を無駄遣いしてしまった事に
「ああ、こんなんじゃ神様に怒られるなあ」と、思えよ自分、と思う。


がしかし、今日神様を想ったのは
この緑茶が手にぶっかかって
熱くて変な顔した時だけだった。
信心深いような、深くないような。

あの顔、神様にウケたかなあ。
今更やろうと思っても出来ない表情。